【掃除の科学】重曹:皮脂汚れや嫌なニオイに効果的!万能洗浄剤のしくみとは?


前回紹介しました「クエン酸」と同じくらいよく耳にするのが「重曹」を使ったお掃除です。
キッチンや浴室の汚れや、衣類の消臭まで幅広く使えるこの白い粉。
実はその効果には、しっかりとした科学的な理由があります。
本記事では、重曹の正体から掃除に使える仕組み、そして油汚れへの注意点まで、科学の目でわかりやすく解説します。


重曹とはどんな物質?

化学的プロフィール

  • 名称:炭酸水素ナトリウム
  • 化学式:NaHCO₃
  • 弱アルカリ性(pH約8.2)の白色粉末。水にやや溶けにくい。
  • 酸と反応して二酸化炭素(CO₂)を発生

重曹の科学構造と掃除に関係する機能

重曹(重曹水)の構造と掃除機能の関係図です。
中和・研磨・消臭の3つの力で汚れ・ニオイにアプローチ!

生成と用途

  • 化学合成、または天然鉱石(トロナ)から採取
    →国内で市販されている重曹のほとんどは科学合成です
  • 料理(ベーキングパウダー)、入浴剤、掃除・消臭など多用途に活用

掃除に使われる理由

  • アルカリ性の性質により、酸性の汚れ・ニオイを分解・中和できる
  • 子供やペットがいても安全に利用できる(多量に摂取すると問題となる)

重曹が有効な汚れの種類

汚れの種類主成分重曹の効果補足ポイント
皮脂汚れ遊離脂肪酸中和(せっけん化)衣類の襟元などに有効
焦げ付き炭化物研磨ペースト状にしてこすり洗いが有効
排水口の臭い酸性ガス・腐敗物消臭・中和
靴・冷蔵庫の臭い酸性臭気成分消臭・吸着重曹を置くだけでも効果あり

重曹が有効ではない汚れの種類

重曹は「皮脂汚れ」には効果がありますが、「食用油などの油脂汚れ」にはあまり効果がありません。
一般的には油脂の分解にはpH9.5以上のアルカリが有効とされており、セスキ炭酸ソーダなどが有効です。
またアルカリ性の汚れにも効果がありません。

汚れの種類主成分重曹の効果補足ポイント
食用油油脂ほぼ無反応セスキ炭酸ソーダや石けんが有効
水垢(アルカリ性)カルシウム塩効果なしクエン酸など酸性洗剤が有効

主な作用メカニズム

中和反応:酸と塩基(アルカリ)が反応して、互いの性質を打ち消し合うこと

■具体例:

  • 皮脂に多く含まれる遊離脂肪酸と重曹が反応し、汚れが落ちる(中和により石けんが生じる)
  • 排水溝の嫌なニオイなど、酸性のニオイ成分を中和して抑える

消臭・吸着:中和反応+細かい粒子がニオイのもととなる物質を吸着させる

■具体例:

  • 靴箱のいやなニオイを重曹の粒子が吸着させ、消臭する

研磨:細かい粒子が汚れを物理的に落とす

■具体例:

  • なべ底の焦げ付きを重曹の細かい粒子でこすり落とす
    ※粒子の硬度はプラスチックより柔らかいため、こすっても傷がつきにくい

重曹水の作り方と使い方

基本レシピ

  • 水200mlに対して重曹小さじ1(約5g)
  • スプレーボトルに入れてよく振る
    ※アルカリと反応するアルミ製のボトルは避ける

使用例

  • キッチン:シンクのヌメリ
  • 浴室:排水口、タイルの黒ずみ
  • 洗濯:衣類の消臭、洗濯槽の掃除

スプレー後は必ず水で流すか拭き取ることで白残りや素材への負担を防ぐことができます。

注意点

素材によっては変色の恐れがあるため、目立たない場所でテストをしてから使用することをおすすめします。

  • 使えない素材:アルミ、大理石、銅、皮革など
  • 保存:雑菌がわきやすいため、作成した重曹水は1週間を目途に使い切ってください
  • 使用量:多すぎると白残りや素材への負担になる
  • 塩素系漂白剤との混合禁止:有毒な塩素ガスが発生する危険性

まとめ

重曹は、科学的にも理にかなった万能な「ナチュラルクリーナー」です。
中和・研磨・消臭という3つの力を活かせば、家庭のさまざまな汚れに対応できます。

掃除はただの作業ではなく、★化学の力を活かした“ミニ実験”★でもあります。
汚れの性質を知り、適切な方法を選ぶことで、より効率的で安全な掃除が可能になります。
ぜひ、日常の中で環境にも人にもやさしい重曹を、正しく使って快適なお掃除ライフを始めてみてください!

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