はじめに
前半の記事ではドライフードについての基礎知識を、科学的な視点から紹介させていただきました。
その中で家庭でできるドライフードづくりとして「自然乾燥・オーブン乾燥・フードドライヤー」の3つの方法について詳しく調査をおこないました。
後編にあたる今回ではその3つの方法をあらためて比較し、「犬用おやつとして最適な方法はどれか?」という視点で検証します。
さらに、実際にフードドライヤーを使って「愛犬用鶏むね肉ジャーキー」を作った実践レポートも紹介します。

前半記事はコチラを参照ください
ドライフードの作り方 3方式の比較
前半記事でも紹介した、家庭でできるドライフード作成の手段、およびそれぞれのメリット・デメリットの比較表になります。
全体比較表
| 方法 | メリット | デメリット | 向いている食材 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 自然乾燥 (天日干し) | ・電気代ゼロでエコ ・大量に干せる ・太陽光で旨味が濃縮 ・設備がほぼ不要 | ・天候に左右される ・乾燥に時間がかかる ・虫・ホコリのリスクあり ・カビが生えやすい ・肉・魚は衛生面で不向き | ・野菜 ・果物 ・魚(干物) | ・コストを抑えたい人 ・昔ながらの干し方を楽しみたい人 |
| フードドライヤー(低温乾燥) | ・温度が一定で失敗しにくい ・栄養保持率が高い(低温乾燥) ・衛生的で虫の心配なし ・乾燥ムラが少ない ・無添加ドライフードが作れる | ・電気代がかかる ・本体の初期投資が必要 ・匂いがこもる場合あり ・トレイ入れ替えが必要な機種もある | ほぼすべての食材 | ・無添加フードを安定して作りたい人 ・ペットフード作りをしたい人 |
| オーブン乾燥 (高温乾燥) | ・短時間で乾燥できる ・家庭のオーブンでOK ・殺菌効果が高い ・カリッと仕上がる | ・高温で栄養が壊れやすい ・焦げやすい ・乾燥ムラが出やすい ・低温設定がない機種も多い ・肉は中が生焼けになることも | ・肉・魚 ・根菜類 ・水分の少ない野菜 | ・時短で作りたい人 ・新しい機材を増やしたくない人 |
犬のおやつ作成に適切であるかを考える
上記3種類の方法について、生肉(鶏肉)を使ってのおやつ作りに適切かを考えました。
・自然乾燥
⇒生肉は乾燥中に雑菌が増えやすく、犬用おやつとしては安全性の確保が難しいため「×」
・フードドライヤー
⇒コストがかかるが、安全性・再現性・仕上がりの安定感が圧倒的に高いため「◎」
・オーブン乾燥
⇒低温での長時間乾燥に向いておらず、生焼けの心配もあるので「△」

今回はフードドライヤーを使って愛犬用おやつ(鶏むね肉ジャーキー)を手作りすることにしました!
犬用おやつ作成にフードドライヤーを選んだ理由
今回、鶏むね肉を使った犬用おやつを作るにあたり、3つの方法を比較した結果、以下の理由からフードドライヤーを選択しました。
【ポイント1】. 低温でじっくり乾燥できる
60〜70℃の低温で長時間乾燥させることで、雑菌リスクを抑えつつ、焼きすぎない仕上がりになります。
生肉は特に雑菌が増加しやすいため、この点を特に重視しました。
【ポイント2】. 再現性が高い
温度が一定なので、失敗が少なく毎回同じ仕上がりになるのが大きなメリットです。
【ポイント3】. 栄養を守りやすい
高温で壊れやすい栄養素も、低温乾燥なら保持しやすいため、栄養価の面でもフードドライヤーによる乾燥が適しています。

鶏むね肉は脂肪が少ないため酸化しにくい。⇒ドライフードに適した食材です。
フードドライヤーで愛犬のおやつ作成!
それでは実際に「鶏むね肉ジャーキー(愛犬用)」を作った経過を解説します。
使用した材料と機材

■材料
- 鶏むね肉(皮なし)

鶏むね肉の皮は油分が多く酸化しやすいため、必ず取り除きましょう。
■機材
- フードドライヤー
- 包丁・まな板
今回「BelleLife」のフードドライヤーを使いました。
5年前に購入しましたが、いまだ現役で活躍してくれています。
35℃から70℃の温度調整が可能で、24時間タイマー付き。5段トレイで大容量とコスパの良い製品です。
愛犬用鶏むね肉おやつ(ジャーキー)の作り方
STEP1:下処理
鶏むね肉を5mm程度の厚さにスライスします。厚みを揃えることで、乾燥ムラを防げます。
※皮がついている場合はこの時に外してください
今回は行いませんでしたが、必要に応じて軽く湯通しすると表面の菌数が減り、乾燥時間も短縮できます。
STEP2:トレイに並べる
フードドライヤーのトレイに、切った食材が重ならないように並べます。
空気の流れが均一になるほど、乾燥がスムーズに進むため、なるべく食材が均一に並ぶようにします。


トレイを積み重ねて、一番上に蓋をセットします。
STEP3:温度、乾燥時間を設定し、乾燥スタート
鶏むね肉ジャーキーの設定目安は以下の通りです。
- 温度:60〜70℃
- 時間:4〜8時間(厚みによる)
薄いスライスの場合は4〜5時間、厚めのスティックの場合は6〜8時間が目安です。
今回は保存用にしっかり乾燥させたかったため、「70℃、8時間」で設定しました。

STEP4:途中チェック
2〜3時間経ったら乾燥具合について、以下の通りチェックします。
- 表面が乾いてきているか
- トレイの上下で乾燥ムラがないか
必要に応じてトレイを入れ替えると、より均一に仕上がります。
今回は特にムラなく乾燥できていたため、そのまま続行しました。
STEP5:仕上がりの判断⇒完成
タイマーが鳴ったら終了です。
仕上がりを確認し、必要に応じて追加で乾燥を行います。
仕上がりの違いは以下の通りです。
■完全乾燥(カリカリ)の場合
- 折るとパキッと割れる
- カチカチで押しても形が変わらない
- 白〜薄茶色
- 保存性が高い
■セミドライ(しっとり)
- 折れずに“しなる”
- やや濃い茶色、少し光沢がある
- 弾力があり、少し沈む
- 食いつきがいい

セミドライは内部に水分が残るため、水分活性(Aw)が高く、微生物が増えやすい状態です。
食いつきはいいですが、長期保存に向かないので注意が必要です。

STEP6:保存
完成したドライフードはカビを防ぐため、完全に冷ましてから密閉容器へ入れるのがポイントです。
ジップロックなどの密閉容器に小分けにし、冷凍保存がおすすめです。


実際に作ってみた結果まとめ
見た目の変化
乾燥前よりひと回り小さくなり、色は白色⇒薄茶色に変化しました。

香りと食感
鶏の旨味が凝縮され、犬の食いつきがとても良い仕上がりになりました。
薄めのスライスはパリッと、厚めスティックはしっかり噛み応えのある仕上がりです。
(愛犬用でしたが人間も美味しくいただけました。)
保存期間
生の状態であれば2~3日で傷んでしまいますが、ドライフードにすることで、冷蔵庫でも2週間~1か月は問題なく食べることができました。(乾燥材を入れるなどの工夫は必要です。)
コスト
フードドライヤー本体のお値段は、製品次第ですが5000円~1万円くらいとやや高額です。
しかし今回作成したような、愛犬用の無添加おやつや、ドライフルーツ、乾物づくりなど、作れるものは多岐にわたり、電気代も1時間あたり約10~20円(300~400W)とそれほど高額ではなく、コスパの良い製品と実感しました。
まとめ
ドライフードづくりには、自然乾燥・オーブン乾燥・フードドライヤーという3つの方法がありますが、
温度管理や乾燥ムラの少なさを考えると、フードドライヤーは最も安定して安全に仕上げられる乾燥方法だと感じました。
今回の鶏むね肉のおやつづくりでも、一定温度でじっくり乾燥できることで、仕上がりの均一さや保存性の高さがしっかり実感できます。
さらにフードドライヤーは、ペットのおやつだけでなく、「ドライフルーツ・干し野菜・だし素材」など、家庭で作れるドライフードの幅を大きく広げてくれる道具です。
乾燥の仕上がりを左右する「水分活性(Aw)」といった科学的な視点を意識すると、日々の調理がちょっとした実験のように楽しくなります。
安全でおいしい犬のおやつづくりはもちろん、日々の料理や保存食づくりにも活かせるフードドライヤー。
皆様も科学の視点を楽しみながら、ぜひ自由に活用してみてください。
参考文献・出典一覧
食品科学・水分活性(Aw)・微生物制御
- 農研機構(NARO)|食品の水分活性と保存性
※食品の腐敗・微生物増殖とAwの関係を解説する公的研究機関の資料 - 国立医薬品食品衛生研究所|微生物の増殖条件
※食品衛生・保存性の科学的根拠
食品乾燥技術(熱風乾燥・低温乾燥・フリーズドライ)
農林水産省|食品加工・保存技術に関する情報
※食品乾燥の基礎知識
栄養成分・乾燥による変化
- 文部科学省|食品成分データベース
※乾燥前後の栄養比較に使える一次情報
食品保存・安全性
- 厚生労働省|食品衛生と保存方法
※保存性向上(乾燥・塩分・糖分)の科学的背景に利用 - 農林水産省|食品の保存と安全に関するガイド
※家庭での保存方法の信頼性を補強
ペットフード(ドライフード)の基礎情報
- ペットフード協会|ペットフードの種類・製造工程
※ドライフードの一般的な製造プロセスの裏付け - 農林水産省|ペットフード安全法
※法的基準・安全性の根拠として最適

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