日常の掃除で「重曹」や「クエン酸」はよく知られていますが、それ以外にもお掃除コーナーなどで最近よく見かけるのがセスキ炭酸ソーダ(セスキ炭酸ナトリウム)です。
この洗浄剤は重曹と炭酸ソーダの中間的な性質を持ち、油汚れに強く、手肌にも比較的やさしい、まさに“ちょうどいい”アルカリ剤です。
この記事では、炭酸セスキソーダの性質、使い方、注意点を同じような性質の重曹と比較しながら、科学的にわかりやすく解説します。

重曹お掃除については、こちらの記事を参照ください
セスキ炭酸ソーダってどんな物質?
化学的プロフィール
- 名称:セスキ炭酸ソーダ(セスキ炭酸ナトリウム)
- 化学式:Na₂CO₃・NaHCO₃・2H₂O
- 重曹(炭酸水素ナトリウム)と炭酸ソーダ(炭酸ナトリウム)の中間のアルカリ性を持つ物質
- 重曹より水に溶けやすい性質
- 酸と反応して二酸化炭素(CO₂)を発生

セスキとは1.5倍(1と1/2) を意味するラテン語のことです。
重曹と炭酸ソーダが1:1 の比率で結合しているため「セスキ」炭酸ソーダという名称となっています。
重曹の科学構造とお掃除に関係する性質
セスキ炭酸ソーダの構造とお掃除に関係する性質の関係図です。
乳化・中和・消臭の3つの力で酸性の汚れやニオイにアプローチ!

由来と用途
- 天然の鉱物(トロナ鉱など)に含まれる(市販品の多くが「天然鉱物由来」と表記されている)
- 炭酸ソーダと重曹を反応させて生成することも可能
- お掃除や、生ゴミ・排水口の消臭、および入浴剤などに用いられる
掃除に使われる理由
- アルカリ性の性質により、酸性の汚れ・ニオイを分解・中和できる
- 重曹と比較し、油汚れの主成分である脂肪酸を分解しやすい性質がある
セスキ炭酸ソーダが有効な汚れの種類
| 汚れの種類 | 具体例・場所 | 理由(科学的ポイント) |
|---|---|---|
| 油汚れ | レンジフード、コンロ、電子レンジ、調理器具 | 脂肪酸を乳化・分解して落とす |
| 皮脂汚れ | 襟・袖の黒ずみ、汗汚れ、タオルのニオイ | 皮脂の脂肪酸を中和し、ニオイ成分も除去する |
| タンパク質汚れ | 血液汚れ、食品汚れ | アルカリがタンパク質を変性させる |
| 手垢・皮脂の付着 | ドアノブ、スイッチ、リモコン、冷蔵庫の取っ手 | 手垢の脂質を分解する |
| 消臭 | 生ゴミ、排水口、布製品の軽いニオイ | 酸性臭を中和する |
| 洗濯補助 | つけ置き洗い、部屋干し臭対策 | 皮脂・汗をしっかり除去する |
セスキ炭酸ソーダが使えない場所(※注意※)
セスキ炭酸ソーダはとても便利ですが、以下の素材や汚れについては使わないようが必要です。
| 素材・汚れ | 理由 | 適しているお掃除剤 |
|---|---|---|
| アルミ | アルカリで黒く変色・腐食する | 中性洗剤 |
| 銅・真鍮 | 変色しやすい | 中性洗剤 |
| 大理石(天然石) | アルカリで表面が溶けてツヤが失われる | 中性洗剤 |
| 畳・無垢の木材 | 変色・シミになる可能性あり | 中性洗剤 |
| 漆塗り製品 | 表面が白く曇る可能性あり | 乾拭き or 中性洗剤 |
| 水垢(カルシウム汚れ)、石けんカス(スケール) | 酸性汚れのためアルカリでは落ちない | クエン酸 |
重曹、炭酸ソーダとの比較
| 項目 | 重曹 (炭酸水素ナトリウム) | セスキ炭酸ソーダ | 炭酸ソーダ (炭酸ナトリウム) |
|---|---|---|---|
| pH(アルカリ度) | 約8.2(弱アルカリ) | 約9.8(中程度のアルカリ) | 約11(強アルカリ) |
| 水への溶けやすさ | やや溶けにくい | 溶けやすい | 非常に溶けやすい |
| 洗浄力 | 弱い | 中程度 | 強い |
| 得意な汚れ | 焦げ落とし、研磨、消臭 | 油汚れ、皮脂汚れ、手垢、消臭 | 強い油汚れ、洗濯のアルカリ助剤 |
| 手肌への刺激 | 弱い(やさしい) | 中程度 | 強い(手荒れしやすい) |
| 使える場所 | キッチン、冷蔵庫、研磨が必要な場所 | 家中の油汚れ・皮脂汚れ、洗濯 | 頑固な油汚れ、洗濯槽、換気扇 |
| 使えない場所 | アルミ、大理石 | アルミ、銅、真鍮、大理石、畳 | アルミ、大理石、木材 |
| 特徴 | 弱アルカリで扱いやすいが洗浄力は弱め | 重曹より強く、炭酸ソーダよりマイルドで万能 | 強力なアルカリ剤でプロ向けの場面にも使われる |
主な作用メカニズム
中和反応:酸と塩基(アルカリ)が反応して、互いの性質を打ち消し合うこと
- 皮脂や油汚れに多く含まれる脂肪酸、油脂とセスキ炭酸ソーダが反応し、汚れが落ちる
- 排水溝の嫌なニオイなど、酸性のニオイ成分を中和して抑える
- 血液・汗・食品汚れなどのタンパク質は、アルカリによって 変性(構造がほどける) し、落ちやすくなる。
乳化:油汚れを浮かして落とす仕組みのこと
アルカリ性のセスキ炭酸ソーダは、油汚れ(脂肪酸・油脂)に触れると 油を細かく分散させ、水と混ざりやすい状態に変える性質があります。
セスキ水(セスキ炭酸ソーダ水)の作り方と使い方
基本レシピ
- 水500mlに対してセスキ炭酸ソーダ小さじ1(約5g)
- スプレーボトルに入れてよく振る
※アルカリと反応するアルミ製のボトルは避ける - 直射日光を避け、1週間ほどで使い切る
セスキ水の使い方(用途別)
① キッチンの油汚れに
- 汚れにスプレー
- 1〜3分置く
- 布やスポンジで拭き取る
- 水拭きで仕上げる
② 電子レンジの内部お掃除に
- セスキ水を布に含ませて拭く
- ひどい汚れはスプレーして数分置く
- 最後に水拭き
③ 衣類の皮脂・汗汚れに
- 洗面器に40℃前後のぬるま湯を入れる
- セスキ炭酸ソーダを溶かす(1Lに小さじ1〜2)
- 30分〜1時間つけ置き
- そのまま洗濯機へ
④ 手垢・皮脂汚れの拭き掃除に
- 布にセスキ水をスプレー
- ドアノブ、スイッチ、リモコンなどを拭く
- 仕上げに軽く水拭き
⑤ 生ゴミ・排水口の消臭に
- 生ゴミに軽くスプレー
- 排水口に吹きかけて数分置く
まとめ
炭酸セスキソーダは、「重曹より強く、炭酸ソーダよりやさしい」 という絶妙なバランスのアルカリ剤です。
- キッチンの油汚れ
- 衣類の皮脂汚れ
- 手垢・ニオイ対策
これらに強く、家庭の掃除にとても使いやすい存在です。
科学的な仕組みを理解して使うと、より効果的で安全に活用できます。
掃除はただの作業ではなく、★化学の力を活かした“ミニ実験”★でもあります。
汚れの性質を知り、適切な方法を選ぶことで、より効率的で安全な掃除が可能になります。
ぜひ、日常のお掃除で、酸性の汚れに「ちょうど良い」セスキ炭酸ソーダ正しく使って快適なお掃除ライフを始めてみてください!

コメント