【食の科学】寝かせると甘くなる?サツマイモの追熟と糖化の秘密

サツマイモ追熟 食材

つい先日、子の保育園でイモほりの行事があり、おいしそうなサツマイモを入手することができました。
家に持ち帰りさっそく焼き芋にしてみたのですが、思っていたほど甘くなく、私も子もがっかりでした。(犬は喜んでいましたが)
疑問に思い勉強した結果、たどり着いたのが「追熟(ついじゅく)」というひと手間。
今回は、サツマイモがどうして寝かせると甘くなるのか、やさしく科学の視点から見てみましょう。

はじめに:掘りたてはなぜ甘くないの?

理由は「糖がまだ作られていない」から!

  • 収穫直後のサツマイモやかぼちゃは、甘さのもとである糖が少ない
  • 中には「デンプン」がたっぷり
  • デンプンが「糖」に変わるには、酵素の働きと時間が必要

甘さのひみつは「糖化酵素」

糖化のしくみ(簡単3ステップ)

  1. サツマイモには「β-アミラーゼ」という酵素がある
  2. この酵素がデンプンを分解して、マルトース(麦芽糖)などの糖に変える
  3. 時間や温度によって酵素が活性化し、甘さが増す

この糖化を引きおこし、サツマイモをより甘く、美味しくさせる方法を追熟といいます。

追熟で甘さが育つ

サツマイモの品種によって条件は多少異なりますが、一般的な追熟について紹介します。

追熟のポイント

  • 温度:13〜15℃ → 酵素がよく働く温度帯。高すぎるとサツマイモが痛んでしまう
  • 湿度:新聞紙で包む → 傷や劣化防止のため
  • 期間:2〜4週間以上が理想
  • 令蔵庫はNG(低温障害の原因)→ サツマイモが変色し、甘みや触感が落ちる

焼き芋の甘さは温度で決まる!

  • 60〜70℃で酵素が最も活発に働く
  • デンプンが「糊化(こか)」して柔らかくなり、糖化が進む
    → 糊化とは:でんぷんに水を加え加熱することで、酵素の働きが受けやすくなること
  • じっくり加熱が甘さのコツ!

かぼちゃ編:こちらも「寝かせて甘くなる」仲間!

サツマイモと同様に、カボチャも収穫後、追熟させることで甘くおいしくなります。

カボチャの糖化の特徴

  • 主に追熟中に糖化が進む(加熱ではなく保存中が重要)
  • サツマイモと同様に、β-アミラーゼなどの酵素が働く
  • 甘みとホクホク感が増す

カボチャの追熟方法(手順)

  1. 収穫後、風通しの良い日陰に置く
  2. 1〜4週間ほど常温で保存する
  3. 皮が硬くなり、色が濃くなったら食べ頃!

サツマイモとカボチャの違いを比較

項目サツマイモカボチャ
糖化酵素β-アミラーゼβ-アミラーゼなど
糖化のタイミング追熟中+加熱時主に追熟中
保存方法高湿度・13〜15℃常温・乾燥気味が理想

まとめ:甘さは「酵素と化学の力」で育つ

追熟によりサツマイモやカボチャが甘くなるのは、自然の中にひそむ化学反応のおかげです。

  • デンプンという大きな分子が、酵素(β-アミラーゼなど)によって分解され、糖に変わる
  • この反応は「糖化」と呼ばれ、食品化学の世界ではとても重要なプロセス
  • 追熟という保存期間は、酵素がじっくり働く“反応のステージ”
  • 加熱によって酵素が活性化し、甘さのピークが引き出される

サツマイモやカボチャの甘さは、ただの保存や加熱ではなく、科学の力で生まれる味の変化です。
身近な食材の変化を科学の目で見ると、料理がもっと楽しく、もっと深くなるはずです。
皆さんも、料理の裏に潜む科学を意識して。秋の味覚を楽しんでください!
(我が家のサツマイモも、絶賛追熟中です)

参考文献・情報源一覧

  • サツマイモの甘さに関わる糖質成分(2020、中村善行)
  • サツマイモの低温感受性遺伝子と貯蔵に伴う発現パターンの変動について(2021, 永田 雅靖ら)

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